勘違い人生に乾杯
彼は先日、

『旅行業務主任者試験』

 ※うろ覚えなので正確かどうかはわからない

とやらに合格した。

私はこの資格試験に際して、一食の飯代をかけて彼と賭をしていていた。

私は彼が受からないだろうと思っていた。

私はひねくれ者なので、敢えて受かる方に賭けていたらよかったのだが、
今回は素直に落ちる方に賭けていたため、負けてしまった。
勝負事に関しては素直にいってしまうのは、私の悪いクセだ。
彼にはそのうち何かおごらなくてはいけない。

非常に残念だ。

ここで言っている残念というのは、
私が賭に負けて、彼に一食おごらなくてはならないということであって、
彼がその旅行業務なんたら試験に合格したことではない。断じてない。決してない。

さて彼のとったであろう旅行業務主任者の資格。
旅行業務主任者とは一体何をする者なのだろうか。
聞くところによると、旅行の、・・・何といったらいいのだろうか、
んーまあツアーみたいなものを企画したりするようなことを言っていた。

さて、ここでひとこと。

「誰がお前の企画するようなツアーに期待するかっちゅーねん」

さらに話を進めていこう。
これは以前に話を聞いたことだが、
修学旅行で女子高生とどうこうと言っていたような気がする。
その時点ではあまりに現実味が薄く、
彼が普段発するタワゴト並みにしか聞いてなかったので、
彼の話した詳しい内容はよく覚えてないが、
『修学旅行』と『女子高生』というキーワードははっきりと覚えている。

全く一体何なんだお前は。

君は何か、君が修学旅行の日程やら何やらを企画して、
その上添乗員になって女子高生と仲良くなろうなどど考えとるのか。

もしそんな大それたことを考えているのなら、
もう一度、自分を見直してみるといい。
いやわかるまでなら何度でも見直した方がいい。
きっと君は今自分を見損なっている。
自分を正確に認識するのだ。
一瞬、不幸のどん底に落ちるだろう。
しかし、君の人生、長い目で見たらその方がきっといいはずだ。

それに去年卒業して旅行会社に就職した方の話を聞くところによると、
旅行会社の仕事はきついらしい。
お前にそんなきつい仕事に耐える根性があるのか。
でも女子高生のためならとか言ってやりかねんところが実に怖ろしい。

ん?、そうか、彼が旅行会社でがんばって仕事をしていくためには、
返って今の勘違いをし続ける方がいいのか。幸せなのか。

それは意外な新事実で、私もびっくりだ。
しかしその分、修学旅行&女子高生が実現してしまったとき、
彼は現実をまざまざと見せつけられ、人生に失望してしまうのだろう。
生きる望みを失った彼は・・・

ああっ、これではイケナイ。
彼の人生に乾杯するはずが、こんなことになってしまうなんて。

水口さん、御愁傷様です。

でも君ならきっとこんなことにはめげずに、
数多くの困難と混乱と幸福を駆け抜けて、
しぶとく生き抜いてくれるだろう。

アナタの今後のますますの御健勝をお祈りしております。

そしてわずかな可能性を残している、

『修学旅行&女子高生』+『水口』 = ∞ 【無限大】

の理想が成し遂げられることを、心から願っています。



※ 初出:1998発行「わくわく水口ランド 総集編」;その後改変(+期待10%);最終更新 2003.04.26


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